データ作成時についつい忘れてしまうことに”濃度オーバー”があります。

面積の広いスミの部分を締まりのある黒にしたいということで、K=100%ではなくわざとCMYK掛け合わせ(リッチブラックといいます)で色を付けることがあります。

その際、例えば総インキ量がC=40%M=40%Y=40%K=100%合計220%程度の濃度なら問題ないのですが、C=100%M=100%Y=100%K=100%のようにすべてを100%にしてしまうと総インキ量が400%と濃度オーバになってしまい印刷時に「裏移り」を起こしてしまったり、「逆トラッピング」を起こしてしまったりします。

通常、総インキ量の限界値は新聞では250%、雑誌広告では320%、一般商業印刷では300~360%といわれています。

裏写り(裏付きとも言います)とは、印刷した紙が重なった時、上側の印刷物の裏面にインキが転写されてしまう現象のことです。

またこの状態がひどくなるとインキが接着剤のような役割をしてしまい紙同士がくっついてしまうブロッキングという現象が起きることもあります。

印刷時にはパウダーと呼ばれる粉を吹きかけて裏写りを防止する策をとっていますが、濃度オーバーの状態ですとそれらを行なっても裏移りやブロッキングしてしまいます。

逆トラッピングとは、先に刷ったインキが後胴ブランケットにとられてしまい、版を介してとられたインキが後刷りインキユニット(ローラ)にあがり、インキが濁ってくることです。

インキが濁ってしまうと適正な色味を再現できなくなってしまいます。


綺麗な印刷物に仕上げるためにも忘れないでおきたいことです。

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